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もっと聴きたい人のために

 このコーナーではさらに突っ込んでボサノヴァを聴いてみたい方におすすめする作品を紹介していきます。

オス・カリオカス(Os Cariocas)『ア・ボサ・ドス・カリオカス』

 ホナルド・ボスコリは、名曲「小舟」の作詞者、ナラ・レオンの婚約者、マイーザそしてエリス・ヘジーナの夫であったことで知られますが、彼はボサノヴァ全盛時代に「タンバ・トリオが演奏するだけのグループで、オス・カリオカスが歌うだけのグループだったら良かったのになぁ」と言っていたそうです。ようするに双方のグループがそれぞれ上手い方に専念したらいいのにと言いたかったよう。そのオス・カリオカスはボスコリの言葉が示すように演奏しながら全員でコーラスをする男性四人組。今CDで聴いてみると別にボスコリが言うほど演奏が下手ということは全く無く、コーラスの魅力が最大限に伝わるシンプルな演奏が逆にとってもおしゃれ。モダンで軽やかな男性コーラスボサもぜひ聴いてみてください。

レニ・アンドラーヂ&ホメロ・ルバンボ(Leny Andrade & Romelo Lubambo)『コイザ・フィーナ』

 ギターと歌だけでかっこいいアルバム無いかなとお探しの方にはこのアルバムをおすすめいたします。ヴォーカルはレニ・アンドラーヂなのでウイスパー系を期待されるとちょっと違いますが、とにかくホメロ・ルバンボのギターが凄い。ホメロはニューヨークで活躍中のブラジル人ギタリストで、ジャズからボサノヴァまでなんでも弾きこなすテクニシャン。このアルバムではパワフルなレニのヴォーカルに負けることなくガット・ギターのみでバリバリ弾きまくっています。ギタリスト要チェックの1994年作品。

ヴァンダ・サー&セリア・ヴァス(Wanda Sa & Celia Vaz)『ブラジレイラス』

 主要アーティスト解説のところでもヴァンダ・サーのファーストアルバム『ヴァガメンチ』を紹介していますが約30年後のこのアルバムは『ヴァガメンチ』とは別人のような堂々とした歌唱力でボサノヴァ&MPBのちょっと隠れた名曲っぽい曲をたくさん歌っています。相方のセリア・ヴァスはバークレー出身の女性ギタリスト。ヴァンダ自身が弾くギターに寄り添うようにセンスのよいフレーズを挿入し曲を引き締めています。他にもゲストでクアルテート・エン・シー、ガル・コスタ、ジョイス、ナナ・カイミら親友達も参加。特筆すべき点は基本的にギターとパーカッションしか入っていないところで、ガンザのアクセントなどを研究するのにもうってつけ。身近なライヴハウスで演奏しているようなサウンドが他にあまりなく、僕自身愛聴している素敵なアルバムです。

タンバ・トリオ(Tamba Trio)『タンバ』

 ピアニスト/作曲家のルイス・エサ、ベース/フルート/ヴォーカルのベベート、ドラムのエルシオ・ミリートの3人で結成されたタンバ・トリオ。途中ドラマーの交代やギタリストの加入などを経て74年に久々にオリジナル・メンバーに戻り録音されたのがこのアルバム。通称ブラックタンバと呼ばれるこの作品は僕の大好きなマルコス・ヴァーリの『プレヴィザォン・ド・テンポ』の世界と共通した未来的雰囲気を持っています。エレピやシンセを多用しエルシオ・ミリートが考案した打楽器“タンバ”を駆使したサウンドは今聴いても十分先鋭的。それでいてベベートが歌う歌モノは切ないメロディーを持っていてとてもブラジル的かつ美しいのです。一般的ボサノヴァのイメージで聴くと「あれっ」と思われる人もいるかもしれないけど好奇心旺盛な方は間違いなくハマることでしょう。

ワルター・ワンダレイ(Walter Wanderley)『バトゥカーダ』

 ボサノヴァオルガンの第一人者。彼の名前をポルトガル語的にカタカナ化すると“ヴァウテル・ヴァンデルレイ”になってしまって発音しにくいので、英語読みのワルター・ワンダレイでいんじゃないでしょうか。オルガンの音色ってどうしてこんなに夏に合うのかな。このアルバムなんかまさに子供の時に行ったプールで流れていた音楽のようなイメージ。タイトル曲の「バトゥカーダ」をはじめ「小舟」「ウエイブ」「彼女はカリオカ」等、夏を感じさせるボサの代表曲に加え、ゲーンズブールの「さよならを教えて」なんかも演奏。マルコス・ヴァーリがギターで参加しています。

セルジオ・アウグスト(Sergio Augusto)『バルキーニョ・ヂフェレンチ』

 セルジオ・アウグストはサンパウロ出身のシンガーソングライター。カルロス・リラをさらにソフトにしたようなヴォーカルが非常に心地よく、ギターも上手い。このアルバムは1965年の作品でクラウデッチ・ソアレスがセルジオとのデュエットで一曲参加。男性ヴォーカルのボサノヴァ作品としてはなにげにかなり上位に食い込むのではないかと思える出来の良さで、アレンジ、サウンド的にも文句の付けようの無い真正ボサノヴァアルバムです。

ピンガヒーリョ(Pingarilho)『イストリアス・イ・ソーニョス』

 1950年代後半から1960年代前半におけるボサノヴァムーヴメントとは、ジョアン・ジルベルトの発明したボサノヴァバチーダに衝撃を受けたリオの若者たちが、一斉にギターを始めたムーヴメントのこと。ボサノヴァに関してはいろいろな見方がありますが僕は上記のようにとらえています。そしてこれはかつて僕が夢中になったイギリスのパンク/ニューウエイヴムーヴメントとそっくりなんですね。自分たちの聴きたい音楽が無いから覚えたてのギターで自ら作ってしまうというDIY精神。完成品かつプロフェッショナルなレコーディング作品としてのボサノヴァからは見えてきにくい当時の熱気に僕は憧れます。このピンガヒーリョはそんな当時のボサノヴァ熱に感染した若者の一人。彼の作った代表曲はなんといってもジョアン・ジルベルトも録音している「サンバ・ダ・ペルグンタ」。自らのアイドルであるジョアンが自分の曲を録音したことでピンガヒーリョは、喜びに跳ね回ったそうです。なにしろジョアンはマルコス・ヴァーリやバーデン・パウエルの曲でさえ録音していないのですから。しかしながら彼自身の録音作品は今まで存在せず、なんとこの2003年作品がファーストアルバムなんです。冒頭いきなりラップ調で驚かせる洒落っ気がボサノヴァスピリットを感じさせます。本物のボサノヴァとはこれくらい自由なものなのです。もちろんアルバムは全体的に心地よいコード感、グルーヴにつつまれていて夏に聴くにはぴったりの作品です。超好きだなぁ、このアルバム。

ドゥルヴァウ・フェヘイラ(Durval Ferreira)『バチーダ・ヂフェレンチ』

 ひとくちにボサノヴァ・ギター奏法といってもいろんなパターンが存在します。バーデン・パウエルやルイス・ボンファのようなクラシックギターを元にしたバカテク奏法に憧れる人も多いことでしょう。僕自身はジョアン・ジルベルトの基本奏法に影響を受けた、あくまで伴奏としてのバチーダが好きで、このドゥルヴァウ・フェヘイラが得意とするタンボリンのアクセントをそのままギターに置き換えたようなリズミカルな奏法もとても重要だと思います。ドゥルヴァウ・フェヘイラはソングライターとしても素晴らしい曲を多数残していますが、なんとこの2004年の作品は69歳にして初のソロアルバム。ジャジーで落ち着いた雰囲気が心地よく“本物のボサノヴァ世代”のスピリットを感じさせます。

ドリス・モンテイロ(Doris Monteiro)『ドリス・モンテイロ』

 女性ボサノヴァ・ヴォーカリストの中で一番の美人は誰?容姿に関しては人の好みはさまざまなので一概には言えないけど僕はこのドリス・モンテイロが一等 賞だと思っています。当時の写真を見るとほんとにうっとりするほどの美貌ですよ。ただし、ドリスの歌声はボサノヴァのウイスパーな感じとは全く違ってけっ こう低く渋いものでその容姿とのギャップに最初驚いてしまいました。このアルバムは1964年の作品で、アレンジがリンドルフォ・ガヤ、オルガンがワル ター・ワンダレイというおいしい布陣。とりあげられている曲も「サマー・サンバ」を含むマルコス・ヴァーリ作品が4曲、ドゥルヴァウ・フェヘイラも4曲。 デオダートの「バイアォンジーニョ」やドナートの「サンボウ・サンボウ」も入って、夏に聴くには言うことなしのおすすめ盤。

チト・マヂ(Tito Madi)『バランソ・ゾナ・スール・イ・オウ トロス・スセッソス』

 書籍『ボサノヴァの歴史』の中で頻繁に登場し ジョアン・ジルベルトにひどい目にあわされ続けるのがこのチト・マヂ。家賃を払わないジョアンに居候され続 けたあげく、あるコンサートの舞台裏でジョアンにギターで頭をかち割られたという不幸な人。しかしチトは自作の「外は雨が降っている」のヒットで、当時の ジュセ リーノ大統領からゴールドディスクを手渡されたというプレボサノヴァ期の大スターなのです。「バランソ・ゾナ・スール」もボサノヴァの先駆けとしてとても 重要な曲。歌唱法的にはディック・ファルネイやルシオ・アルヴィスのようなクルーナー&ロマンチック路線で、ボサノヴァのへたうま感とは少し違いますがぜ ひチェックしておくべきシンガー・ソングライターといえるでしょう。

シルヴィア・テリス、ルシオ・アルヴィス&ホベルト・メネスカル(Sylvia Telles,Lucio Alves & Roberto Menescal)『ボサセッション』

 ジャズにブルーノートという名門レーベルがあるように、 ボサノヴァにもエレンコというボサノヴァファンが避けては通れないレーベルがあります。エレンコはレコードプロデューサーだったアロイジオ・ヂ・オリヴェ イラという人物が起こしたインディレーベルで、短い活動期間ながら重要な作品を多数残しています。この作品はアロイジオの奥さんだったシルヴィア・テリス と、ルシオ・アルヴィスというボサノヴァを作った世代が尊敬していたクルーナータイプの男性歌手が中心となったセッションアルバムで、2人のデュエット、 ソロ、そしてバックを務めるホベルト・メネスカル・バンドのインストと多彩なタイプの曲が収められています。どれもがこれぞボサノヴァといえる上品で軽妙 なエッセンスにあふれていて、僕なんかは最も好きなタイプのボサ・サウンドです。ちなみにエレンコのジャケットはこのアルバムのようにモノクロとアクセン トの赤色がトレードマークになっているので、他のジャケットもぜひチェックしてみてください。

小野リサ『ナモラーダ』

 “日本を代表するボサノヴァ歌手といえば小野リ サさん”という意見に異論を唱える人は少ないと思います。僕もファーストの頃からファンですが、1番好きなのはこの1993年発表の7曲入りのミニアルバ ム。なんと言ってもリサさん自身のギター1本の伴奏によるルイス・ボンファ作「ミニーナ・フロール」が聴けるから。この可愛い曲は『ナモラーダ』で初めて 知りました。また、他にもメネスカル&ボスコリの「出来ることなら」や、ヴィニシウス・ヂ・モライス作詩/作曲による「あなたの瞳の輝き」など、マニアッ クなボサナンバーが選ばれているうえに、全体的にシンプルなアレンジなのでいまだによく聴くアルバムです。

レニ・アンドラーヂ(Leny Andarade)『エスタモス・アイ』

 基本的に男女にかかわらずウイスパー、クルーナー系の ヴォーカルが好きなので、このレニ・アンドラーヂなんかは苦手な部類の歌手だったのですが、やっぱり実力は認めざるを得ません。特にこの1965年のアル バムは、エウミール・デオダートの超ゴージャスなアレンジの上で縦横無尽に舞う、完璧なレニのヴォーカルが圧倒的でカッコ良すぎ。これが22歳のヴォーカ ルとは…。そう、デオダートもこの時22歳。天才音楽集団ですね。ああ、どうしてデオダートの管弦楽アレンジはこんなに素晴らしいんだろう。

ディック・ファルネイ&クラウデッチ・ソアリス(Dick Farney & Claudette Soares)『トゥー ドゥ・イスト・エ・アモール』

 アメリカで活躍したこともある、フランク・シナトラ・タ イプの男性ヴォーカリスト&ピアニスト、ディック・ファルネイと、コケティッシュな歌声が魅力の女性ヴォーカリスト、クラウデッチ・ソアリスのデュエット アルバム。ボサノヴァというよりもかなりムードミュージックに近い激甘サウンドなんだけど、これが好きなんだな〜。ジョニー・アルフ、カルロス・リラ、ト ム・ジョビンという典型的ボサノヴァ・ナンバーばかりなのに、ボサノヴァとは趣を異にする完全に夜指向のゴージャスな大人の世界。「コパカバーナの高級マ ンションの最上階。間接照明のだだっ広いリビングルームで、コルコヴァードを眺めながら佇む二人。傍らにはブランデーグラス」なんていう絵が浮かびそうな 世界です。(このジャケ写はVol.1とVol.2のカップリング盤。単体盤も入手可能と思われます。)

マルコス・ヴァーリ(Marcos Valle)『プレヴィザォン・ド・テンポ』

 長年僕はマルコス・ヴァーリを典型的ボサノヴァ の人だと思っていたのだけど、このアルバムを聴いた時はあまりのイメージのギャップに驚いた。『天気予報』と名付けられたこの1973年の作品は、当時の マルコスが描く理想的サウンドが完璧に表現されている超傑作。アジムスの全面的バックアップによるグルーヴィーなリズム。エレピ、ハモンド、アナログシン セによるたゆたうような音像。そしてもちろんマルコスの誰にも真似の出来ない天才的なソングライティング。その全てが奇跡的化学反応を起こし、21世紀の 現在聴いても全く古さを感じさせない“未来の音”を作り出しているのです。1973年といえばスティーヴィー・ワンダーの『インナーヴィジョンズ』が発表 された年ですが、この『プレヴィザォン・ド・テンポ』は『インナーヴィジョンズ』と同等に語られるべき歴史的傑作なのではないかな。

ソニア・ローザ(Sonia Rosa)『ソニア・ローザ・ウイズ・ユウジ・ オオノ』

 60年代末にブラジルからやってきて日本で活躍 したボサノヴァ歌手ソニア・ローザ。そのキュートな歌声はほんとうに素晴らしく、世界的に見てももっと知られるべきだと思うのでここでまた紹介しちゃいま す。このアルバムは1974年にソニーがステレオを買った人へのプレゼントとして制作した非売品だったらしいのですが、現在ちゃんとCD化されています。 ルパン3世の音楽で有名なオオノ・ユウジ氏のグループの伴奏で「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」「ユー・メイク・ミー・ブランニュー」とかブラジル音楽 とは関係ない曲も歌っているけど、ちゃんとエドゥ・ロボの「カーザ・フォルチ」、シコ・ブアルキの「アトラス・ダ・ポルタ」そして「コルコヴァード」など 正統派ボサ&MPBも演奏してます。けっこうグルーヴィーな面を評価した紹介が多いような気がしますが、僕のおすすめはずばりラストの「ショーヴィ・ラ・ フォーラ 」。 チト・マヂの作った渋いこのナンバーをソニアは全くのギター1本で弾き語っていますが、これがとてもいい。これぞボサノヴァですね。

ベベート(Bebeto)『ベベート』

 ブラジルでベベートって言うともしかしたらジョ ルジ・ベンのそっくりさんの方が有名かもしれないけど、ボサノヴァ・ファンが聴かなくちゃいけないのはこちらのベベート。タンバ・トリオのベーシストで、 フルートと“これぞボサノヴァ”的脱力ヴォーカルが魅力的なベベートをぜひ聴きましょう。このソロ・アルバムは1975年作なのでエレピやエレベが主体の サウンドですが、タンバトリオの他の2人(ルイス・エサ、エルシオ・ミリート)も参加していて、とってもソフトで、上品で、夢のような作品です。サンバ、 ショーロ、ボサノヴァが密接にかかわりのあるジャンルだというのもよくわかりますよ。

オス・ガットス(Os Gatos)『アケーリ・ソン・ドス・オス・ガッ トス』

  ここに収録されている「イ・ナーダ・マイス」 を聴くためだけにでも、あなたはこのアルバムを手に入れなければならない。それほどドゥルヴァル・フェヘイラが作ったこの曲はボサノヴァの上品で、危ういほどに壊れやすそうな美しさに満ちています。そして、それ以外のエウミール・デオダートがアレンジするインストゥルメンタル曲も円熟した極上のボサノヴァ サウンド。ボサノヴァ名盤の上位に食い込むこと必至の必聴アルバムです。

テノーリオ・ジュニオール(Tenorio JR.)『エンバーロ』

 僕自身はヴォーカルもののボサノヴァが聴くのが 好きですが、ジャズ・ボサ(ジャズ・サンバ)といわれるインストゥルメンタルにも愛聴しているものがあります。その代表格がピアニスト、テノーリオ・ジュ ニオールが残したこの唯一のリーダー・アルバム。ホーンを加えた編成で軽快に飛ばしまくりますが、なんといっても彼のオリジナル曲が最高。特に「ネブロー ザ」はビル・エヴァンスにも匹敵するリリシズムとたたみかけるようなリズム感が同居していて必聴です。なんとインストなのに1:57という短さもカッコい い。テノーリオはアルゼンチンに演奏旅行に行っているとき当時の軍事政権に反体制分子の疑いをかけられ処刑されてしまいました。存命だったらどんな音楽を 聴かせてくれたのかと、とても惜しく思います。

グルーポ・マニフェスト(Grupo Manifesto)『No.2 』

 1968年にエレン コからリリースされたちょっと小粋なユニット、グルーポ・マニフェストのセカンド・アルバム。このアルバムがリリースされた68年当時ブラジルで流行して いたのは、世界的な潮流に漏れずビートルズを中心としたロックでした。そんな状況でブラジル独自のアコースティックなサウンドに回帰しようというコンセプ トで作られたグループがこのグルーポ・マニフェストだったのです。(このコンセプトはムジカ・ノッサとも呼ばれ、他にもいろんなミュージシャンがこの時期 この運動に共鳴したアルバムを発表したが短命に終わった)リズム的にはボサばかりでなくマルシャやノルデスチの様々なリズムが使われていますが、基本的に はエレンコのアルバムらしい洒落た雰囲気。カエターノらのトロピカリズモ的なサウンドに近い感触もあるかな。後にセルジオ・メンデスの奥さんになったグラ シーニャ・レポラーセのヴォーカルも聴けるし、セルメンぽい洗練されたコーラス・ワークも魅力。セルメン程派手な音では無いけどソフト・ロックが好きな人 にはお薦めのアルバムです。 ベスト・トラックは5曲目「ケン・ヴェン」。(この文章は以前あった「最近のお気に入り」というコーナーで1999/4/29に紹介したものに加筆訂正し たものです)

『サラヴァ』DVD

 ブラジル音楽ファン必見の素晴らしい映像作品。 フランス映画『男と女』で印象的な役を演じたピエール・バルーが1969年にブラジルに渡り撮った記録映画です。DVD化されているのでとりあえず見てく ださい。僕が一番好きなのは名サンバ歌手/ソングライターのパウリーニョ・ダ・ヴィオラが出てくるシーン。ピエール・バルーのリクエストに応え屋外の食堂 みたいな所で、パウリーニョが飲み食いしながら次から次へとギターを弾き歌を歌うと、回りの人達がいっしょに歌うんです。もう最高!生活と音楽が密着して います。それも素晴らしい音楽が…。その他若き日のバーデン・パウエルやマリア・ベターニア、伝説的なショーロの巨人ピシンギーニャなど、全編宝石のよう な映像が詰まっています。これを見て何も感じないようならブラジル音楽にのめり込むことは出来ませんと、言い切ってしまいたいほど素晴らしいヴィデオで す。(この文章は以前あった「最近のお気に入り」というコーナーで1999/3/9に紹介したものに加筆訂正したものです)


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